そらいろのパレット

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パン屋と屋根屋

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ある日、北海道のパン屋さんから設計依頼の手紙が届きます。
FAXでもなくメールでもなく…書いた人の息遣いが感じられるようなぬくもりある手書きの手紙です。


「はじめまして…………私たちの作るパンは、焼きっぱなしの素朴なパンがほとんどです。仕上げもしないので、焼き上がりの表情に思いを込めて作ります。建物もシンプルで簡素、働いていて気持ちが落ち着くような、自然に寄り添うものがいいなと思っております。

…………パンを窯に入れるとき、昔の職人は十字を切り、祈りを捧げていたといいます。窯の中のパンがよくふくらみ、きちんと焼きあがることはとても神秘的なことだったようです。

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窯の中に入れたあとは、いまの私たちも、おいしく焼けますようにと願い、祈る気持ちはあまり変わらないような気がします。静かで願いを込められる空間で、私も時を過ごすことができたらな、と思います。
 どうぞ私たちの夢、小さなパン小屋をお願いいたします。
北海道真狩村
神 幸紀(34)、麻里(38)、幸太郎(4)」


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手紙を受け取ったのは、建築家・中村好文。

「…………大きな窯の設置できる工房、薪割り小屋と薪置き場、明るく気持ちのよい、広すぎない売り場をコンパクトにおさめた神さん一家の「パン小屋」の設計、喜んでお引き受けします。というより、この仕事をほかの建築家に渡すわけにはいかない! という気持ちになっています。」


そうして、
二人の、北海道と東京に分かれ住む恋人たちの長距離恋愛のような日々が始まります。
これは、その彼らの往復書簡集です。

幸せなクライアントと建築家との在りようは、周りの人々も巻き込んで
「なんかいいね、この建物……」とお客がつぶやくような素敵なパン屋さんができあがりました。
そして、
読んでいる私も、とても幸せな気分になりました。


★『パン屋の手紙 -往復書簡でたどる設計依頼から建物完成まで-』中村好文×神 幸紀 筑摩書房 2013.

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この本の前に読んでいた本は『屋根屋』。
あれっ、なんだか似ているなと気が付いたのはついさっき。
何が似ているかって?
だって「パン屋」と「屋根屋」です、似てるでしょ。
えっ、似てるのは「〇▲屋」ってとこだけか(^^ゞ

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いやいや、やっぱり似ているかも。
だってこの『屋根屋』も「建築物」と「夢」の話しなんだもの。
これは小説なんですが…表紙のシャガールの絵のように?空から屋根を見に行く話しなの。
ええええ、
私(主人公)、夢の中で、屋根屋と一緒にどこへでも行けるようになるんです。
その昔の瓦師が書き残した落書き?のある橿原の瑞花院吉楽寺や、法隆寺の五重の塔なんて日本の有名どころだけじゃなく、フランスのノートルダム寺院だってシャルトル大聖堂だって連れて行ってもらえちゃう。
JALでもANAでもファーストクラスでも…好きな飛行機に乗って…いやいや黒鳥や透明人間になってまで(なんたって夢の中ですから)どこへでも!

でも、夢の中のことなんか家族は誰も知らない…現実の私のことだって…知らないんだわ。

「今度はどこへ行きまっしょ?」…屋根屋は孤独な仕事、考える時間はたっぷりあります。


あとは本を読んでね(^^ゞ
あらら。


★『屋根屋』村田喜代子 講談社 2014.

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自分の本棚を見せるっていうのは
自分の内側をさらけ出すようで私はちょっと躊躇するんだけれど
「パン屋」と「屋根屋」を偶然続けて読んで、
全然畑の違う本なのになんだか共通点があって面白いなって思ったものだから…。
たいした内側じゃないし…まっ、いいか(^^ゞ

by pallet-sorairo | 2014-11-06 15:49 | 街暮らし | Comments(14)
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-06 21:28
「意中の建築」で中村好文を知りました。
これも面白そうですね。
予約予約^^。
Commented by pallet-sorairo at 2014-11-06 22:47
☆saheiziさん
『意中の建築』私持ってます♪
『パン屋…』の神 幸紀さんは、unburroさんのところの竹彦さんも
こんなお人柄なのではないかと思いながら読みました(^^
Commented by ゆき at 2014-11-06 23:30 x
「意中の建築」、
うふふ、栗林公園の掬月亭(だっけ?)の雨戸の仕組みがあるでしょう?
あれ、大好き。うまいこと出来てるよねぇ。
Commented by amanojakusan at 2014-11-07 05:27
中村好文さんの設計だったら自然素材を使った素敵なパン屋さんになったことでしょう。訪れてみたいですね。
Commented by pallet-sorairo at 2014-11-07 11:56
☆ゆきさん
そう、掬月邸。
さっき久しぶりに読み直してみたら
全部で128枚の雨戸を名人?だったMさんは15分で開けたそうです。
私四国へはほんのちょっとしか足を踏み入れてないので
行ってみたかった所だったの思い出しました。
来年かな(^^
Commented by pallet-sorairo at 2014-11-07 12:02
☆Mr.amanojakusan
私も、北海道まで見に行きたくなってます。
パン小屋だけでなく、
以前パン窯小屋(神さんの手造り)だったところを読書室兼ゲストルームに改装するのですが、ここがまた、とっても素敵なのです。
以前、Mr.amanojakusanが白樺湖北の別荘に造ったと言ってらした屋根裏部屋のこと思い出しながら読んでました。
Commented by sheri-sheri at 2014-11-07 12:53
今日は。私のつたないキルトに温かいお言葉いただきまして、ありがとうございました。こちらの・・「パンやの手紙・・・」まるで童話の世界ではないかと一瞬勘違いするほど、素敵なお話でした。御紹介下さってほんとに感激です。 
早速メモしました。「屋根裏」も是非読みたいです。北海道行ってみたいです。魂が洗われそう。・・・
Commented by cyaa9090 at 2014-11-07 13:49
>自分の内側をさらけ出すようで私はちょっと躊躇するんだけれど

どうか躊躇しないで素敵な本は紹介してください。
図書館で沢山の本を前にして
何にしようかと、あてずっぽに取りだす私です。

Commented by unburro at 2014-11-07 14:59
映画「しあわせのパン」は、ご覧になりましたか?
北海道の洞爺湖の畔にあるパン屋さんの物語です。
中村好文氏のパン屋さんと、重なりますよ。
Commented by yukimama0202 at 2014-11-07 20:30
真狩村の「ブラッスリー・ジン」って有名ですね~
私は行ったことないけど姉が「マッカリーナ」ってオーベルジュがあるんだけど
そこに泊まった時に「ジン」のパン買ってきてくれました
そのマッカリーナのシェフが洞爺湖のウインザーホテルのサミットの時に晩餐会のお料理のシェフの一人なんですって
ジンもマッカリーナにパンを卸してるとか?、、聞いた気もします

しあわせのパン屋↑も洞爺湖の月浦でセットみたいでした
大泉洋と原田知世ちゃんの~
見てないけど^^
Commented by pallet-sorairo at 2014-11-07 20:58
☆sheri-sheriさん
若い人たちの真っ直ぐな心持がとっても胸に響きます。
そして、それに応える建築家(有名な!)のプロとしての気概も素晴らしいです。
写真も美しく、眺めているだけでも幸せな気持ちになる本でした。
Commented by pallet-sorairo at 2014-11-07 21:00
☆cyaaさん
こういう場所で、自分の読んでいる本を紹介するってなかなか勇気がいります。
ほかの人にはたくさん紹介してほしいって思うのに、自分勝手ですね(^^ゞ
Commented by pallet-sorairo at 2014-11-07 21:05
☆unburroさん
↑ で、竹彦さんのことに触れましたが、
パン屋さんの神さんが、ずっと竹彦さんのイメージと重なっていました。
とっても素敵な若者です。
私、映画はほとんど見てないのです…すみません(^^;
Commented by pallet-sorairo at 2014-11-07 21:11
☆yukimamaさん
yukimamaさんならここ知っているんじゃないかなぁって思ってました。
開店前からお客さまが並んでるみたいだった、やっぱり、有名なのね。
神さんはその「マッカリーナ」で料理人として働いていてパン作りに目覚め
単身パリに渡ってパン修行をしてきたようです。
「マッカリーナ」にパンを卸しているようですよ、今手元に本がないのでうろ覚えですが。
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