そらいろのパレット

sorairo02.exblog.jp ブログトップ

新聞小説


久しぶりに新聞小説にはまっている。
いわく、朝日新聞朝刊の沢木 耕太郎作『春に散る』、
いわく、朝日新聞夕刊の宇江佐 真理遺作『うめ婆行状記』。

沢木耕太郎『春に散る』は、
初老をむかえたもと世界チャンピョンを目指したボクサーたちの物語。
すでに300回を越えているが、ここのところまた新しい人物が登場して目が離せない。
しかし、沢木耕太郎はともかく
一方で時代小説の宇江佐真理作品を読むことになったのには
我ながらちょっとびっくりしていたりする。

d0288144_12390360.jpg
<2016.2.19(金)朝刊>

ある日、台所の生ごみを包んで捨てようと手に取った新聞紙にその小説『うめ婆行状記』はあった。
台所仕事の手を止めてしまったのは、
ひときわ目を引く安里 英晴さんの挿絵のせいもあるかもしれないが
登場人物それぞれの個性が実に生き生きと描き分けられているのに
思わず引き込まれてしまったからに違いない。

私はたまたま台所でこの小説に出会ったのだが、
偶然にも宇江佐さんは忙しい主婦業をこなしながら台所の片隅で小説を書いていたとのこと。
八百屋やスーパーに主婦として買い物にも出かける身としては、要するに本名を隠蔽したいだけのことだから、
ペンネームも、いつか「ウエザ・リポート」というタイトルでエッセイを書くために決めたのだという。
「天気予報のようなものよ、私のエッセイなんて。」
くだんの『ウエザ・リポート』の中であっけらかんとそう言い放つ。

d0288144_12391366.jpg
<2016.2.18(木)夕刊と『ウエザ・リポート』(PHP研究所.2007)>

宇江佐さんは乳がんを発病したあとでこの小説の執筆を決心し、
昨年11月に亡くなる二日前に脱稿したとのこと。
夫の急死後、家族の反対を押し切ってひとり暮らしを始めるしゃっきりとした雰囲気漂ううめ婆に、
がんと闘う宇江佐さんがどんな人生を歩ませたのか興味はつきない。
配達される夕刊が待ち遠しいこの頃だが、
しかし、私と同世代の活躍中の作家の逝去はなんともやりきれない思いがする。

d0288144_12392092.jpg
<2016.2.19(金)朝刊>

ここまで書いて、今朝の新聞を開けると
作家津島佑子さんの訃報が目に飛び込んできた。
また同世代の女性がひとりが亡くなった。

なんとも悲しい。


by pallet-sorairo | 2016-02-19 13:09 | 街暮らし | Comments(8)
Commented by hanamomo08 at 2016-02-19 20:52
新聞小説私も読んでいます。
伊集院静さんの東京クルージングです。
途中ちょっと抜けているのですが、とても面白いです。
挿絵がまた素敵です。
いつかブログで紹介しますね。
挿絵を担当する画家さんも毎日となると大変でしょうね。

津島祐子さん、太宰と似ていますね。
Commented by saheizi-inokori at 2016-02-19 22:05
私はいらちだから新聞小説はかったるくてだめなんです。
それが「春に散る」の数日前、喧嘩シーンから読み始めています。
ぜんぜん知らない登場人物ばかりでも面白い。
津島さんはもっと読むべき人だと思いつつ、、亡くなってから追いかけるようになりました。
太宰を認めないとはっきり言ったそうですね。
Commented by linden2151026 at 2016-02-20 08:07
津島佑子さん亡くなられたんですか。まだ60代ですよね。
新聞小説久しく読んでいませんね。
Commented by pallet-sorairo at 2016-02-20 11:15
☆hanamomoさん
『東京クルージング』どこの新聞かと思いググってみましたら、秋田は「秋田魁新報」で
信濃毎日や熊本日日など地方各社で掲載しているのを知りました。
挿絵ともどもとても評判いいですね。
他の地域ではたぶん単行本になってからでないとお目にかかれないんでしょうね。
ちょっと待ち遠しいです。
Commented by pallet-sorairo at 2016-02-20 11:25
☆saheiziさん
私もおんなじです。
でも、今回はなぜか引き込まれてしまいました。
『うめ婆行状記』もおもしろいです。
始まったばかりなので、こちらもどうですか?!
最初は6月からの通常連載の予定だったのを、急きょ短期連載にしたようです。
なので一回の量がたぶん4回分くらいあるので進みが早い?です(^^ゞ
津島佑子さんは私も読まなくちゃと思っていながらなかなか食いつけないでいた作家です。
「父としての太宰」を認めないということなんでしょうね。
大田治子さんとは正反対の複雑な思いをもって生きてこられたのだろうなと思います。
Commented by pallet-sorairo at 2016-02-20 11:33
☆lindenさん
肺がんで18日に亡くなられました。
68歳だったそうです。
今は、そちらでも日本の新聞はデジタル版などで読めるのでしょうか?
『春に散る』も『うめ婆行状記』も面白いですよ♪
Commented by unburro at 2016-02-22 07:56
沢木耕太郎、小説は珍しいですよね。
時々、飛ばしながらに、読んでいましたが、
最近、動きが出て来たので、毎朝、楽しみにしています。
若いボクサーを、元ボクサーのオジサンたちが育てる…という展開⁈になるのでしょうか、ワクワク(^_^)
「日経」の宮部みゆきも、安定した面白さです。
朝ドラとか、新聞小説とか、毎日の小さな楽しみ!があるのはうれしい事だなあ、と思います。
Commented by pallet-sorairo at 2016-02-22 21:02
☆unburroさん
ノンフィクションも最近はちょっと精彩を欠いているような気がしていましたが
この小説はなんだかおもしろいです。
沢木の真骨頂?ボクサー(それもアメリカ帰りの)が主人公だからかも、
若いボクサーがどんなふうな役回りをしてゆくのかワクワクしますね。
「日経」は宮部みゆきですか。
我が家では取っていないので、残念です。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード