東欧の旅 ⑭ ドゥブロブニク/城壁をめぐる


6月8日(木) @クロアチア

遥か彼方に緩くカーブする水平線、
アドリア海と空の澄みきった青さに吸い込まれそうな気がする。
あの海の向こうにあるはずのイタリアが見えるのではと思うほどに晴れ渡った日だ。
※写真はクリックで拡大します。

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<スルジ山からドゥブロブニクを見下ろす>

左に見える城壁に囲まれた一角がドゥブロブニク旧市街、
海に浮かぶ島はロクルム島だ。
街を一望できるスルジ山にはロープウェイが通っている。




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昨日歩いたトロギールとここドゥブロブニクでのガイドさんは、
母親が日本人で、9歳まで日本で暮らしたという青年ドミニクさん。
最近は主だった国にはほとんど日本語のガイドさんがいるようだが
この辺りはまだまだ日本語を操る人は少ないのだろう、
ドミニクさんは、この旅初めての日本語ガイドだ。

さて、城壁めぐりを始めよう。

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城壁にはバスの発着所近くのピレ門から入った。
お堀に架かる石橋を渡り街の守護聖人ヴラボ像が見下ろすピレ門をくぐると
その先にまた城壁をくぐる門(これもピレ門?)があるのだった。
うむ、なかなかに堅牢な城壁であるなぁと思いながら進んでいると
ドミニクさん曰く「ちなみにピレとは門のことなので、ピレ門は門門です」ですと。

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入り口を入ってすぐ脇の階段から城壁に上がり、ピレ門の真上辺りから見下ろしたところ。
丸いドームは「オノフリオの大噴水」だ。
時は15世紀、川のないドゥブロブニクでは水の確保は大命題だったから、
ナポリの建築士オノフリオに依頼してスルジ山から水を引きこの泉を造ったのだそうだ。
左奥に伸びている道・プラツァ通りは町が誕生した7世紀には
小島と陸地の間の細長い運河のような海峡だったとのこと。

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<ボカール要塞から対岸にロヴリイェナツ要塞を見る>

わっ、海だ! アドリア海だ。
昨日トロギールからはこの美しいアドリア海をずぅっと見ながら南下してきたのに、
私はなんだか眠くてその間ずっとうとうとしていて夫にあきれられていたのだったが。

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振り返り見る城壁、途切れずに観光客が上って来る。

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ぞろぞろと並んで進んでいる城壁の右手は美しいアドリア海だが
左手直ぐ下には民家や学校や修道院などが建っていて、
当然ながら、そこには住む人々の変わらぬ日々の暮らしがあるのだった。

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美しいアドリア海に航跡がいくつも見える。
今朝はすぐそこの旧港に大型のクルーズ船が3隻入ったということだから、
街なかもさぞ混雑することだろう。

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<聖ピーターの砦>

朝からとても暑くて日差しが容赦なく照り付ける。
さすがに、日除けのある俄か作りのカフェは一休みの人で賑わっていた。

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おや、あんなところにもカフェが。
いかにも狭くて怖そうな場所だが、ここは数少ない公共のビーチのひとつだとか。

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<聖イヴァン要塞から旧港越しに本土を望む(右端にちょっとレヴリン要塞が見えている)>

件の本屋さんのウインドウ★に飾ってあった絵の場所はどこかと思っていたが、
レポを書く今になって、ここだった!と気づく。
ガイドさんがいてもあんまり聞いていないから、実はそんな場所ばかりなのだが(^^;

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後ろ側の鐘楼は大聖堂のものだと思うが
ここから見るといくつもの鐘楼があって、これもよくわからない。
しかし、旅の途中では固有名詞はあんまり重要ではないような気もするのだ。

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先ほど通り過ぎて来た聖イヴァン要塞と旧港、そしてロクルム島が見える。
城壁の上はもちろん一本道だからぐるりと一回りしているはずだが、
人の波にくっついて歩いているのと、
眼下は屋根の並ぶ同じような光景がずっと続いているので
こうして見て初めて歩いて来た場所の様子が解ったりするのがおかしい。

ところで、同じような赤い屋根の家々とはいえ
屋根瓦の新旧がはっきりとわかるのに気付いただろうか。

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<古い屋根瓦>

1991年12月、旧ユーゴスラビア連邦軍による砲弾が浴びせられ(2000発とか)、
旧市街の多くの建物が破壊されたくさんの市民が犠牲になった内戦の傷跡だという。
たくさんの新しい屋根瓦はその紛争終結後に修復されたものだというのだから
紛争がこの街に如何に甚大な被害を与えたかが解ろうというものだ。
★クロアチア紛争(Wikipedia)

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世界中からの観光客で賑わうこの美しい街で、
わずか二十数年前に激しい戦闘があったなどということはちょっと想像ができない。
ふと、昨日まで一緒だったドライバーのジェリコさんを思い出す。

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街のあの縁をぐるりと回っている城壁を歩いて来たのだ。
ここから見ると、街の真ん中を横切るように伸びるプラツァ通りがわかる。
左の行き止まりのような所が街の中心地ルジャ広場に違いない。

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そろそろ城壁を下りて、街を歩くころだろうか。



★続きます(こちらから)
★写真はクリックで拡大します。



Commented by saheizi-inokori at 2017-07-12 09:23
映画でも見ているような美しい風景!
でも暑そうだなア、ぼくには無理かも、なんて自分を慰めています。
Commented by PochiPochi-2-s at 2017-07-12 10:51
おはようございます😃。
ガイドブックなんか比べ物にならない。
そう思って読ませて貰ってます。
魔女の宅急便の舞台と聞けば、綺麗な、夢のある場所を
想像しますが、あのエスニック・クレンジングと呼ばれた
凄絶な戦闘の起こった場所だったと聞けば思うこと、考えること
が180度変わってくる。かつてのチトーの時のユーゴスラビアは
そんな場所だと思いました。戦争経験のない私たちには全くわから
ないが、大変な戦闘だったことだけは理解しています。
そうそう、サッカーの侍ジャパンのハリルポッジ監督も
確かクロアチア出身であの戦争に参加していたと聞いたことが
あったなぁと。
イタリアへ行ったあと、すぐに行ってみたかったのに行きそびれ
た場所。
パレットさんの写真と解説の続きが楽しみです♪
Commented by unburro at 2017-07-12 14:06
素晴らしい!
palletさんの視点による写真と文章を辿ると
強い陽射しの中、一緒に歩いているように感じます。

鐘楼、屋根瓦、海、カフェ、写真の視点が、
まるで私の眼のようで不思議!
こんな落語がありましたね…あれは、「犬の目」ですね(笑)
Commented by poirier_AAA at 2017-07-12 19:33
クロアチアと聞くと東欧と考えますが、この光の感じ、海や空、屋根の瓦の色、城壁や建物の造りなんかをみると、明らかに南欧を感じますよね。南欧というか地中海文化圏というか。わたしは思わずポルトガルみたいだなと思ってしまいました。

東欧圏だとかユーロが使えないとか聞くと、普通なら「ここは慣れた場所ではない」と感じてもおかしくないのに、なぜか勝手知ったる場所のような親近感を感じてしまうんです。おもしろいですね、こういう「肌感覚」みたいなものって。
Commented by pallet-sorairo at 2017-07-12 20:46
☆saheiziさん
ほんとに暑かったです。
でも、暑さはともかく
一日8000歩以上も歩いているsaheiziさんなら
全然OKと思います(^^。
Commented by pallet-sorairo at 2017-07-12 20:52
☆PochiPochiさん
ありがとうございます。
陸続きで国境を接しているって厳しいものだなと感じましたが、
わずか20数年でここまで復興しているというのにも驚きました。
平和のありがたさをしみじみ思う旅でもありました。
Commented by pallet-sorairo at 2017-07-12 20:57
☆unburroさん
>強い陽射しの中、一緒に歩いているように感じます。
そう言ってくださると
レポを描いた甲斐があったなぁととっても嬉しいです。
たくさんとった写真も無駄ではなかったか(^^ゞ
ありがとうございます。
Commented by pallet-sorairo at 2017-07-12 21:12
☆梨の木さん
確かに、アドリア海沿岸は南欧のような雰囲気だと思いました。
何しろアドリア海はあの青さだし、海の向こうはイタリアだし(^^。
首都のザグレブなど、ちょっと内陸部に行くと少し雰囲気が違うのかもしれなかったのに
今回は行けなくてそれがちょっと心残りでした。
ユーロ圏に暮らしていると、ユーロが使えないっていうのは、
けっこうハードル高いっていうの、わかるような気がします。
Commented by こんの at 2017-07-13 06:27 x
あぁ いい旅 なのが伝わってきます
(いい旅だったのだなぁ)
Commented by pallet-sorairo at 2017-07-13 22:17
☆こんのさん
日が経つにつれ
じわじわと、いい旅だったなぁとの思いが
湧いてきています。
Commented by PC-otasukeman at 2017-07-14 09:09
パソコンお助けマンです。
お蔭さまで「ブロ友パソコン相談室」も開設7周年になりました。
これまでのご支援に深く感謝申し上げます。
これからもパソコントラブルの『駆け込み寺』としてお役に立てるよう頑張りますので宜しくお願いいたします。
7月14日の記事をご覧頂き、ご意見・ご希望をお寄せいただければ幸いです。
Commented by pallet-sorairo at 2017-07-14 15:24
☆パソコンお助けマンさん
PC音痴の救世主、何度か助けていただきました。
7周年おめでとうございます。
これからもどうぞよろしくお願いいたしします。
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by pallet-sorairo | 2017-07-12 07:15 | 旅(遠いどこかへ@海外) | Comments(12)

私の山歩き街暮らし空の色 // 散歩道で見かける鳥や虫や花も // ただいま山歩きお休みちう       ©pallet-sorairo


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