この日の山歩きの終点は海、太平洋に下り立ちました。
最高地点の烏場山(266 m)から海抜0mまで標高差266mを下りてきたことになります。
北アルプスの朝日岳(2418m)と日本海の親不知海岸をつなぐ栂海新道とは比べ物になりませんが
山から海に下りるって、ちょっとドラマチックな感じがします…よね?!
波打ち際に向かって歩いて行くのは、防寒(水?)対策のウエアで身を固めた釣り人です。
こんな時間から、何を釣るのかしら。
きょうはきれいな青空が広がる予想だったのに、
けっこう厚い雲が空を覆ってなかなかお日様が姿を見せてくれないちょっと残念な一日となりました。
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烏場山(花嫁街道)は何度か歩いたことがあり
前回のレポを見てみたら、今回とほとんど同じところで写真を撮っていたのに気づきました。
これなら
前回のレポ見ていただけばいいような気がするけど…
まっ、気を取り直して…(^^ゞ
JR内房線・和田浦駅から花嫁街道入口までは徒歩で40分ほどの道のりです。
この辺りは南房総一と言われる花卉栽培の土地柄ゆえ、どこもかしこも花いっぱい。
路地では菜の花やストックが、そこここにある温室ではキンギョソウが花の盛りでした。
民家の間をゆるゆる歩いてすこしずつ山へ近づき、
この真新しい道祖神のところに突き当って左へ行くと、駐車スペースのある花嫁街道の入り口です。
花嫁街道はぐるっと周回していて、いつのころからか後半部分は花婿街道と呼ばれ
この道祖神のところへ右手から下りて来て合流するようになっています。
花嫁街道という名は、近年ハイキングコースとして整備されるとともにつけられたとのことで、
もともとは山間と海辺の集落の交流の道、古くは塩汲みの道から生活物資の往来、
学校の通学路としても利用され、もちろん、名前の由来になった花嫁行列も通ったのだとか。
山には、温暖な気候を思わせる常緑高木のスダジイやマテバシイの木が多いです。
大きいでしょう?!
まだ3月になったばかりというのに、葉が茂っているせいで
お日様が顔を出さないこの日はなんだかうす暗い山道…
おっと、きょうは夫との二人パーティです。
<パノラマモードで撮ってみましたが…>
見事なマテバシイ林も。
屏風のように突然この林が目の前に現れるので、
初めて出会った時には思わず後ずさりしてしまいそうな光景です。
ところどころで海も見えるんですが…。
スカッとした青い海を見るには、やっぱり真冬の晴天の日に来るべきでしたね。
この日は曇っているからというだけでなく、
肉眼でも海と空の境を探すのが大変なくらいでしたから、靄ってもいたかもしれません。
道々には今でも経文石、じがい水、猿渡り、馬井戸、駒返し、
桟敷塚などの地名が残されていて、古くからの道であったことが伺えます。
頼朝伝説に出てくる名馬「スルスミ」を産出した磑(スルス)森集落もこの辺りとのこと。
山肌のなんともこもこしていること!
とても春まだ浅い山とは思えない繁り方です。
このコース中で一番展望が開けていた烏場山山頂直前にある第三展望台。
ランチはいつも手前の見晴台(カヤ場)でしていたけれど、次はここでしようかな。
西方面が開けていて眼下に長閑な五十蔵集落(たぶん)が見え、
以前来た時には遠くに富士山も見えたのでした。
こんな斜面によくぞ立っている!
と思うような樹々。
本日最高点の烏場山山頂266m、晴れていれば伊豆大島も見えるようです。
山頂に置かれた花嫁像。
これはたぶんハイキングコースが整備された時からの物ですね(^^ゞ
さて、ここからの下り道は花婿街道。
途中、けっこう急坂があって上りに使うのはあまりお勧めできません。
道々でこんな木に出会うたびに「なんだか植生が
佐渡の山に似ているね」なんて話していたのですが、
Wikipediaの
「スダジイ」の項にこんな記述を見つけました。
佐渡島は、他の生育地と比較して高緯度であるが、
対馬海流の影響で比較的温暖なため本種の巨木が多い
ふむふむなるほど。
房総半島と共通する部分がありますね。
<手水鉢@金毘羅山>
スミレなど咲いている日当たりの良い見晴台(171m)と金毘羅山(121m)の急下りをこなして
花婿街道入口に下山。
ここからは観光客の皆さんのエリアでもあるようです。
落差15mの黒滝を見に来るんですね。
小さな滝ですが、由緒もあり
なかなか存在感のある滝のように思います。
滝から流れ出る水辺を回り込んではなその広場へ出、
朝方道を分けた道祖神のところへと向かいます。
収穫の頃にはさぞかしと思うほど実のなったビワや養蜂箱など見ながら
あの道祖神のところに戻ってきました。
まだ時間もあるので、温室の中なども覗かせていただきながら、
前回見逃してしまった「浜千鳥」の歌碑を見に海辺へ行ってみましょう。
里には菜の花が満開です。
海辺に並行して山が見えますが、烏場山はどれかなぁ??
おや、今ごろになって少し青空が出て来たようです。
「浜千鳥」歌碑。
私世代には懐かしい歌ですが…
1 青い月夜の浜辺には 2 夜鳴く鳥の悲しさは
親を探して鳴く鳥が 親をたずねて海越えて
波の国から生まれ出る 月夜の国へ消えてゆく
濡れた翼の銀の色 銀のつばさの浜千鳥
歌碑を見てから海辺へ向かいます。
「浜千鳥」なんかもちょっとハミングしたりしながら(^^ゞ
海に出れば今日の山旅もお終い。
海沿いの国道に並んでいる売店でキンギョソウの花束(6本400円!)をお土産に買って
ホームに満開の菜の花の咲く和田浦の駅から家路につきました。
きょうも一日楽しかった♪
2017.3.4(土) 花嫁街道/烏場山(からすばやま)(266m)
(往)JR千葉6:58(内房線・館山行)-館山8:46/9:00(内房線・安房鴨川行)-和田浦9:24.
(歩)和田浦駅9:30-花嫁街道入口10:10-第2展望台10:45-経文石11:00-駒返し-見晴台(カヤ場)11:50/12:25-烏場山12:35/12:40-金毘羅山(121m)13:40-黒滝-はなその広場14:05-「浜千鳥」歌碑14:45-和田浦駅15:20.
(復)①和田浦15:32(内房線・館山行)-館山15:57/16:01(特急さざなみ4号・新宿行)-千葉17:22ー新宿18:07.
②和田浦15:33(内房線・安房鴨川行)-安房鴨川15:48/15:51(外房線・千葉行)-千葉18:02.
★神奈川方面からは
アクアライン経由木更津駅前着のバスか、久里浜と浜金谷を結ぶ東京湾フェリーも利用できます。
★トイレは各最寄り駅。花嫁街道入口。はなその広場。
★写真はクリックで拡大します。
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★花嫁街道の由来などは和田浦歩こう会発行の
「花嫁街道ハイキングコースマップ」(駅のパンフレットスタンドにあり)
を参考にさせていただきました。
この会は、登山道の整備などもしてくださっているようです。
ありがとうございました。