6月7日(水)@クロアチア
<聖ロヴロ大聖堂鐘楼@トロギール>
ところでこれって、見下ろしているの?見上げているの??
なんだかだまし絵みたいで、撮った自分も一瞬どっちだったか?と迷ってしまった。
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アドリア海の海岸線を南下して旅の最終地ドゥブロブニクへ向かう。
途中で古都トロギールに寄り道する予定だ。
<高速道路パーキングエリアで>
トロギールへ向かう途中で長いトンネルを抜け、パーキングエリアで休憩する。
新しく整備されたらしいパーキングエリアの橋の向こうに
オレンジ色の屋根の家々が集まる小さな港町?が見えた。
あれが古都トロギールかと思ったが、この辺りには時々そんな町が見えるのだろう。
■
南北に300m、東西に500mの小さな島一つが、
中世の面影を残す町トロギール旧市街だ。
世界遺産に登録されているトロギールは、かつては島全体が城壁で囲まれていたという。
いまなお高い城壁が巡っている南門(海の門)には、クロアチア国旗がはためいていた。
オレンジ色の屋根の家々が狭くて入り組んだ石畳の道を挟んで建っているが
ちょっとした広場にはカフェやレストランがテントを張ってあちこちで店開きだ。
あのとんがり屋根の鐘楼が建っている場所(島の東端)が旧市街の中心地だという。
旧市街の中心イヴァナパヴラ広場。
建物は左が市庁舎で、続く市庁舎の時計塔の右側はロッジアと呼ばれる集会所のような場所。
テラスのようなロッジアではかつて裁判なども行われていたのだとか。
市庁舎の裏手にはすぐ海が迫っている。
イヴァナパヴラ広場を挟んで時計塔と向かい合って建っているのが
トロギールきっての重要な建物、先ほど見かけた尖がった鐘楼のある聖ロヴロ大聖堂だ。
ひとまず島内を一周してから、あの鐘楼に上ってみよう。
海岸沿いは椰子の木の並木などがあって南国ムード満点、
カフェのテントもたくさんあって、屋外なのになんとソファなども置かれていたりする。
お店の前の通りを挟んだところが城壁だったりするのは
この島の狭さからしたら当然かもしれないが、やっぱりなんかちょっと変な感じ。
人の歩みによってぴかぴかに磨き込まれた石畳はローマ時代のものという。
島の南西のはずれにはカメルレンゴの要塞が建っている。
展望台からは旧市街が一望できるそうだが、ここへ来る途中の丘の
道端から旧市街を遠望した時にはこの要塞が良い目印になって、あ
そこがトロギールだとドライバーのジェリコさんに教えてもらった
のだった。左写真旧市街の向こうに見えているのはチョヴォ島。
ひと通り歩いてランチを済ませひとまず解散となったので、我が家は聖ロヴロ大聖堂へと戻った。
内部を見学してみよう、というより、あの鐘楼に上ってみたいので(^^ゞ
聖堂正面入り口の彫刻は、
13世紀初頭に作られたクロアチアを代表するロマネスク美術の傑作とのこと。
精緻な彫刻には聖書の物語が繰り広げられていて素晴らしかった。
両脇のライオン像の上には可愛らしい?アダムとイヴが立っていたが…(写真には足だけ見えてます)。
螺旋階段を上り、鐘楼へ向かう。
上り詰めると、聖堂ファサードのテラスへ出た。
目の前にバラ窓。
ステンドグラスだが…これは初めから彩色がされていなかったのだろうか?
テラスの手すりの向こうには、道路を挟んでなにやら可愛らしくも趣のある建物が並んでいた。
階下はなにかのお店が続いていたように思うが、
ここに立って見ていたら、ふと自分が中世の人になったような錯覚にとらわれてしまった。
一息ついていよいよ鐘楼の階段にチャレンジだ。
最上部は新しい鉄製階段が架けられていたが、ときどき下が透けて見えるので却って頼りなげだった。
私の前を行くドイツ人父娘(たぶん)のおとうさん。
上で娘さんが心配そうに見守っていた。
鐘楼は14世紀初頭に建てられた高さ47m、三層の建物だ。
各層の建築様式が異なっている(窓の形が違うなど)のは、
のちにヴェネチアの攻撃を受けた後、17世紀初頭までに少しずつ修復されたためだとか。
最上階からは市庁舎の時計塔越しに、先ほど見て来た旧市街南側の海岸線が見えていた。
海の向こう側はチョヴォ島だ。
階段下り口。
こういうところは、初めの一歩がなかなか怖いのだ。
町の守護聖人イヴァン・ウルスィニ像が通る人を見下ろす北門(陸
の門)に再集合。
いま私は、北門前にある本土と旧市街を結ぶ唯一の橋の上からこの
写真を撮っているが、北門をくぐると小さな広場があり、その先の
狭いトンネル?をくぐると入り組んだ路地が始まるのだ。
再集合前に少し時間があったので、本土側の河岸で開かれている市
場にも行ってみた。
野菜や果物の露店のほかに、ここは浅草か?!と思うようなカバン
や靴やTシャツやらのおみやげ品を所狭しと並べたり吊り下げたり
の露店?もあってあららと思ってしまった(^^ゞ
■
再集合ののち、いよいよ旅の最終地ドゥブロブニクへとアドリア海の海岸線をさらに南下した。
ドゥブロブニクは飛び地になっているため、
途中、ボスニア・ヘルツェゴビナとの国境を少しの区間で二度越えることになる。
世界史に疎い私でも、ユーゴスラビアからの独立の際に激しい民族紛争があった
らしいとは何となく知ってはいたから、スロヴェニアでもクロアチアでもたぶん
あれは弾痕ではないかと思える光景をちらりと見る機会があってその都度つい言
葉少なになっていたのだったが、こんなところでもまた、陸続きの国々の歴史の
重たさを感じされられるのだった。
<町の中心地のバスターミナル/@ドゥブロブニク>
ホテルに到着すると、6日間を共にしたドライバーのジェリコさんがここでお別れだと言う。
道々お聞きしたところによれば、可愛いお子さんが3人いてご自身はサッカーが趣味。
穏やかで気持ちの優しい良き夫・父親とお見うけしたが、
年齢的に言えば、たぶん独立紛争真っただ中の青春時代を生きてきたに違いない。
楽しい旅の間、そのことに思いが至ると、
つくづく平和のありがたさを感ぜずにいられなかった。
ジェリコさん、お世話になりました。
またいつかお会いしましょう。
■
2時間もあれば大方を見ることができそうな小さな島のレポなのに
端折ったつもりが書くのにずいぶん時間がかかり饒舌にもなってしまった。
なんだかなぁ。
★写真はクリックで拡大します。
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追記
バラ窓のことについてコメントを頂きましたので
写真を追加いたします。
大聖堂内部から見たバラ窓です。
西向きなので、晴れた日の夕方には美しい夕焼け色に染まるのかもしれません。
※写真はクリックで拡大します。