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月の山 その1


雲の峰いくつ崩れて月の山  芭蕉

芭蕉がそう詠んだ月山へ出かけた。

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夏でもスキーができると言われる月山の雪も
今年の猛暑で早々と消えてしまっていた。




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8月2日木曜日。
新幹線で山形へ向かい、
バスを乗り継いでリフトのある姥沢に着いたのはもう昼をだいぶ過ぎた時間だった。

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<リフト上駅を見下ろす>

足元に咲くヨツバヒヨドリに群がるたくさんのアサギマダラにびっくりしながら
楽々と高度を稼いでリフト上駅に着き、山頂へ向けて歩き出す。

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牛首へと緩やかに伸びる道を向こうに見下しながら
私たちは姥ヶ岳を経由して牛首へ行くルートを登って行く。

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姥ヶ岳のまとった緑のなんと素敵なこと。
山肌は黄色い花を彩りにしてやわらかな起伏を繰り返し、
草原の中にいくつか散らばっている小さな池塘は空を映して長閑だ。

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<姥ヶ岳山頂>

木道上でかがみこんでゆきさんは何の花を撮っているのだろうか。
ここまで来るのにまだいくらも経っていないが
私たちはすでに10種類以上の花を見ている。
さすが、花の山と言われる月山だ。

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きょうは午後からお天気が良くなるはずなのだけれど
ガスがいっこうに上がって行かない。

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それでも、すっとガスが横に動いていく途中で
時々、優し気な稜線を目にすることができる。

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振り返ると、さっきまで見えなかった遠くの山々が姿を現していた。
緑のグラデーションがことのほか美しくてしばし佇み、
霞むように消えていく光景を眺めてしまった。

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ウソのような色合いの鳥が目の前を横切って行ったのが合図でもあったか、
せっかく上った道をここから湯殿山への分岐がある金姥(かなうば)へ向けて下り始める。

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金姥手前ですれ違った男性が「さっきその下辺りに熊の親子がいたんだよ」と言う。
あら、それは大変と熊鈴を出してぶら下げたのだが、
もしかしてあの雪の残っている辺りで遊んでいたのだろうか。
左手上に湯殿山への道が見える。

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柴灯森(さいとうもり)は巻いて行く。
それにしてもどこまでもなだらかでなんと優し気な山容なのだろう。

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スッキリとはいかないまでもいくらかガスが取れて、
自分がいまどんな場所にいるかがわかるようになってきた。
下にはバスで通り過ぎて来た志津温泉辺りも見えているようだ。

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進んで行く足元にはたくさんの花々が咲いているが
中にはもう実をつけて秋の準備を済ませてしまったものたちもいる。

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<牛首辺り>

半月前にはまだ残雪の上をトラヴァースしていたはずの牛首の雪もずいぶん後退して
もう石畳の登山道を行くようになっていた。

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地図を見ると牛首から山頂までは1時間、等高線も混んでいてきつい登りになりそうだ。
しかし、またガスが濃くなってきた。

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すれ違ったご夫婦が霧の中に消えてゆくところを撮ろうと振り向いて、
もたもたしていたらあっという間に見えなくなってしまった。

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風もまた強い。
鍛冶小屋跡の延命地蔵様は、
強風に吹き上げられた赤い前垂れに顔を隠されてしまっていた。
スリムなゆきさんは飛ばされそうだ。

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山頂近いと思われる広々とした台地に出ると風はさらに強まったが、
時おりさぁっとガスが途切れて瞬間的に青空が見えるではないか!
ああ、上空はあんなにきれいな青空なんだとちょっと恨めしい気がしないでもなく。

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長袖Tシャツ一枚で歩いていた私は知らず知らず身体が冷えてしまったような気がするので
ウィンドブレーカーを着たほうがいいだろうかと迷っていたら、
ふわっとガスが途切れてなんとすぐ目の前に今夜の宿山頂小屋が現れたのだった。

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山頂小屋の私たちの部屋の窓からは「肘折温泉へ22㎞」の山頂標識が見えた。
ずいぶん前に私が読んだ初めての月山の山行記録が
この魅力的な肘折温泉へのルートを行くものだったことを思い出す。
いつかここを歩きたいと思ったものだったが、時すでに遅し。

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<月山頂上小屋内部>

この日の宿泊者14名。
1パーティ1部屋の割り当てで私たちは10畳の部屋に二人だった。
汗拭きシートでさっぱりしTシャツを着替えて薄手ダウンを羽織ってほっとひと息。
下界の猛暑が嘘のようだ。
山菜料理や手作りゴマ豆腐、からりと揚がったてんぷらなど
評判通り美味しい夕食を頂いて、
嵐でもあるかのようにごぉごぉと吹く風の音を聞きながら
いつもよりずっと早い時間に心地よい眠りについたのだった。



※翌日に続きます。






by pallet-sorairo | 2018-08-07 07:35 | 山歩き2018 | Comments(21)
Commented by shimasaan at 2018-08-07 07:56
比較的近くて
こんなに花が咲いていて
下界の猛暑がウソのように涼しくて
山小屋がまるで空いていて
食事もおいしかったとのこと

いいとこ歩いて来ましたね~
Commented by nick-3 at 2018-08-07 08:09
初めまして。
花の山、月山は気になってますので興味深く拝見しました。
行くとしても来年以降、いつのことになるやら。
続きも、是非拝見したいと思います。
Commented by saheizi-inokori at 2018-08-07 09:55
豪雨のニュース、その前に行ったのですね。
山小屋が立派なのに驚きです。
Commented by miyabiflower at 2018-08-07 10:02
初めまして。
大きく広い光景の中の小さな花たち、かわいいです。
ここを歩いた人だけが見られる愛らしい花なのですね。
いつか歩けたらいいなぁと思いました。

Commented by daikatoti at 2018-08-07 10:34
こういう山もあるんだ〜
なんとなく登りやすそう。
あ、尾瀬の感じがちょっとしますね。
いい趣味だなぁ山登り。ガスがかかっててもいい雰囲気。
Commented by unburro at 2018-08-07 11:04
憧れの月山!
5年ほど前の初夏に、志津温泉まで行き、月山の足元、
自然公園で、雪の残る森を歩いて満足して帰って来たのです。
(お蕎麦と、月山筍も、たっぷり満喫しました!)

私には仰ぎ見るだけの月山ですが、素敵な山レポで、
心が山頂まで飛びました。
すごくうれしい!

続きが楽しみでたまりません(^。^)
Commented by tsunojirushi at 2018-08-07 12:11
素晴らしい。
このかけがえのない風景。こんな体験をされること、人生が輝いていますね。
これまた映画で観ている私は、信仰の山という印象でしたが、穏やかな、優しい感じの山ですね。(もちろん山の脅威は踏まえた上で)
Commented by PochiPochi-2-s at 2018-08-07 15:50
いいなぁ〜。
月山ですか。羨ましい。
若かった頃登ってみたいなぁと思っていた山でした。

なだらかな稜線ですね。
なんだか山全体が大きな気がする。
南アルプスの兎から聖にかけてこんなような雰囲気だったような…
ガスってる中を歩くのもまたいいものですね。
幻想的な感じ。
続き楽しみです♪

雨に遭なくて本当に良かった。
Commented by pallet-sorairo at 2018-08-07 22:50
☆shimasaanさん
それに加えて、
リフト利用で楽ちん&歩く時間の短いところ
でもあって、ホントにいいとこでした(^^ゞ
Commented by pallet-sorairo at 2018-08-07 22:54
☆nickさん
ようこそ!
私もnickさんの山の花のお写真いつも楽しみにしております。
月山は私が思っていた以上の花の山でした。
ぜひ、いつかnickさん目線のの素敵な写真を見せていただきたいです。
Commented by pallet-sorairo at 2018-08-07 22:57
☆saheiziさん
帰って来た途端の豪雨に驚いております。
ここは月山神社お参りの方たちの宿にもなるのだと思います。
家族経営?のとてもいい山小屋でした。
Commented by pallet-sorairo at 2018-08-07 23:05
☆miyabiflowerさん
初めまして、ようこそ!
歩く足元にたくさんの花が咲いているのを感じていただけて嬉しいです。
このルートはだいぶ上までリフトで上がれますので
いつかぜひ足を運ばれますように♪
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
Commented by rinrin at 2018-08-07 23:06 x
とても懐かしく拝見しました。はるか昔夏スキーに行った記憶があります。あの頃はスキーだけで、こんな可愛いお花は見なかったかも。
来年は行ってみたいです。
Commented by pallet-sorairo at 2018-08-07 23:09
☆totiさん
きれいな山でしょう。
二か月ぶりだったので楽ちんなところとこのルートを採りました。
月山神社にお参りに行く人のために登山道もよく整備されているので
登りやすかったですよ、木道を見ると尾瀬を思い出しますよね(^^ゞ
ガスが出ていたので、
かえって山そのものをよく感じることができたように思います。
Commented by pallet-sorairo at 2018-08-07 23:16
☆unburroさん
歩きながら、ちょこっとunburroさんのこと思い出していました。
月山筍のてんぷら、とても美味しかったです。
仰ぎ見るだけなどとおっしゃらず、
リハビリ達成時にはぜひ登ってくださいませな!
リフトルートのピストンだったらそんなに無理ではないかと思います。
Commented by pallet-sorairo at 2018-08-07 23:20
☆tsunojirushiさん
ガスで遠くどころか周りもよく見えない中での登山だったので
むしろ山そのものの雰囲気をすごく味わえたような気がしています。
おっしゃる通り、穏やかな、優しい感じの山で、
名山という名に恥じない山だなぁと思いました。
Commented by pallet-sorairo at 2018-08-07 23:27
☆PochiPochiさん
どっしりとした雰囲気は、何故か母なる山と言う形容も合うようにも思い、
信仰の対象となったのがよくわかるような気がしました。
兎から聖の雰囲気ですか…
そう言われてみればあの大きな山懐にも似ているかもしれません。
ガスっていても足元の花たちが元気づけてくれて素敵でしたよ♪
Commented by pallet-sorairo at 2018-08-07 23:31
☆rinrinさん
夏スキーをなさったことがおありなんですね!
スキー場の雪が消え始めてからこのお花畑も花の盛りを迎えるのかと。
もう少し早い残雪の頃にはもっとフレッシュなお花が見れるはずですので
今度はぜひ、そのころに訪ねられてるとよろしいかと思います♪
Commented by こんの at 2018-08-08 06:50 x
朝日連峰大朝日岳に続いて、こんどは月山
地元の人間としては、嬉しいかぎりです
続きが楽しみ!!

Commented by こんの at 2018-08-08 07:13 x
8月2日の我がブログは、次のような文でした(笑)

  月山の雪
今朝の朝仕事は、エダマメの除草、アズキ(播種)の潅水。
作業の合間に眺める月山には、まだ残雪が涼しげである。
Commented by pallet-sorairo at 2018-08-08 08:09
☆こんのさん
こんのさんのおひざ元にお邪魔するので
一言ご挨拶して行った方がいいかなぁと思ったのですが、
失礼をしてしまいました。スミマセン。
月山、納得の名山でした。
いま『天童の家』へお邪魔して2日の記事拝見しました。
山頂付近だけ、雲ですねぇ(^^ゞ
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